それ自体を表す象徴

ロイ ワグナー 久保明教 監訳 谷 憲一 訳

装幀:近藤みどり
2025年12月20日発売
四六判 上製カバー装 280頁
定価:本体3,500円+税
ISBN 978-4-7531-0398-0 

「かのように」が「ある」となり、「ある」が「かのように」となる――比喩的な「かのように」と字義通りの「ある」が互いに互いを置き換えていく隠喩の運動を文化を構成する原理として捉えるオブヴィエーション(除去―顕在化)分析を通じて、タルコット・パーソンズ、デーヴィッド・シュナイダー、ソシュール派言語学/レヴィ=ストロースの構造主義など、自然/文化の二分法を含めた静的な象徴体系に対し、動的な象徴体系の提示を試みる意欲作。
ワグナーの仕事は2010年代以降の人類学における「存在論的転回」の先駆とみなされながらも、本書は、構造主義における静的な「構造」概念そのものの乗り越えを試みる「構造なき構造主義」の、より幅広くかつ野心的な射程を持つと言えるだろう。

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目次

まえがき

第一章 序 論

第二章 言葉にするには明確すぎる

第三章 散らばる隠喩――意味のホログラフィー

第四章 皮膚上の死――死の不可避性と図と地の反転

第五章 画期――実在する時間と実在しない時間

第六章 西洋の中核的な象徴

第七章 結論――三次比喩と人間の条件

 参考文献
 訳者解説


ロイ・ワグナー  (Roy Wagner)

1938年生まれ。2018年没。シカゴ大学で人類学の博士号を取得。南イリノイ大学とノースウェスタン大学で教鞭をとった後、ヴァージニア大学人類学科の学科長を務め、亡くなるまで同大学で教鞭をとり続けた。主な著書に、The Curse of Souw(1967)、Habu(1972)、Lethal Speech(1978)、The Invention of Culture([1975] 1981/『文化のインベンション』玉川大学出版部、2000年)、Asiwinarong(1986)、An Anthropology of the Subject(2001)などがある。

久保 明教  (クボ アキノリ)  

1978年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学、博士(人間科学)。一橋大学社会学研究科教授。主な著書に、『ロボットの人類学――二〇世紀日本の機械と人間』(世界思想社、2015年)、『機械カニバリズム――人間なきあとの人類学へ』(講談社、2018年)、『ブルーノ・ラトゥールの取説――アクターネットワーク論から存在様態探求へ』(月曜社、2019年)、『「家庭料理」という戦場――暮らしはデザインできるか?』(コトニ社、2020年)、『内在的多様性批判――ポストモダン人類学から存在論的転回へ』(作品社、2025年)などがある。

谷 憲一  (タニ ケンイチ)  

1987年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(社会学)。国立民族学博物館特別研究員(PD)。主な著書に、『嗜好品から見える社会』(共編著、春風社、2022 年)、『服従と反抗のアーシューラー――現代イランの宗教儀礼をめぐる民族誌』(法政大学出版局、2023 年)、訳書に、マリリン・ストラザーン『アフター・ネイチャー』(共訳、水声社、2025 年)などがある。