魂を統治する──私的な自己の形成 

ニコラス・ローズ(堀内進之介・神代健彦 監訳)

装幀:日下充典
2016年6月24日発売
四六判 上製カバー装 512頁
定価:本体4,800円+税
ISBN 978-4-7531-0333-1

心理学の流行と感情動員の政治を暴く!

「魂を統治する」とは、自己は他者の視線(世間体)をどのように受け止め、それと対応しようとするかを、集団と個人の関係の典型である軍隊における兵士、職場における労働者、家族における子ども、といった具体的な場面で人々はどういうふうに振る舞うのか、を分析したものである。自己決定・自己責任がほとんど自明となった風潮のなかで、いかに我々の「心=魂」が自由なものとして義務づけられてきたのかを、批判的に描き出す現代社会論。

宮台真司氏、推薦!
「ローズは言う、本当の『魂』などないと。『魂』は造られる。我々はこれを引き受けるほかない」


目次

第二版への序文
初版への序文
はじめに
第1章 戦時下の人々
 1 戦争の心理学
 2 士気の統治
 3 心理戦の兵士たち
 4 戦時下の諸集団
第2章 生産的な主体
 1 労働の主体
 2 満足した労働者
 3 戦時下の労働者
 4 仕事場の民主主義
 5 経営管理の専門知
 6 自己の生産
第3章 子どもと家族とまわりの世界
 1  小さな市民
 2  心理学者のまなざし
 3  愛の絆の調整
 4  精神の最大化
 5  責任ある自律的な家族
第4章 私たちの自己のマネジメント
 1  自由を義務づけられた人々
 2  行動の再形成
 3  自律のテクノロジー
 4  自由の治療
あとがき 1999年
原注
訳者解題


著者

ニコラス・ローズ (Nikolas Rose)
1947年生まれ。イギリスの社会学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスBIOS研究所所長をへて、現在ロンドン大学キングスカレッジ教授。生物学や心理学、社会学の境界領域において、ミシェル・フーコーの生権力理論の影響のもとに研究。近年では、現代社会における生命科学・生命倫理の問題を社会全体の権力論的構造において研究する議論が注目を集める。著書に『われわれの自己を発明する』(1996)、『自由の権力』(1999)、共著に『現在を統治する』(2008)、『ニューロ──新しい脳科学と心の統御』(2013)など。著作の日本語訳として、『生そのものの政治学――21世紀の生物医学、権力、主体性』(檜垣立哉監訳、小倉拓也・ 佐古仁志・ 山崎吾郎訳、法政大学出版局)がある。

監訳者

堀内 進之介(ほりうち しんのすけ)
1977年生まれ。青山学院大学大学院非常勤講師。現代位相研究所・首席研究員。専門は、政治社会学・批判的社会理論。著書に『知と情意の政治学』(教育評論社)、『感情でつられる人々』(集英社新書)など。
共著に『人生を危険にさらせ!』(幻冬舎)、『悪という希望――「生そのもの」のための政治社会学』(教育評論社)、『統治・自律・民主主義――パターナリズムの政治社会学』(NTT出版)、『本当にわかる社会学』(日本実業出版)ほか多数。

神代 健彦(くましろ たけひこ)
1981年生まれ。京都教育大学教育学部専任講師、博士(社会学)。専門は教育学。
共著に、現代位相研究所編『統治・自律・民主主義――パターナリズムの政治社会学』(NTT出版)、同『悪という希望――「生そのもの」のための政治社会学』(教育評論社)、田中拓道編著『承認――社会哲学と社会政策の対話』(法政大学出版局)ほか多数。