キャリバンと魔女/S・フェデリーチ

キャリバンと魔女

装幀:日下充典
装画:Giotto di Bondone/Bridgeman Images
2017年2月1日発売
四六判 上製カバー装 528頁
定価:本体4,600円+税
ISBN 978-4-7531-0337-9​

キャリバンと魔女──資本主義に抗する女性の身体  

シルビア・フェデリーチ

ジェンダーとは階級である

16、17世紀の欧米を席巻した魔女狩りによって迫害・処刑された女性たちとその身体こそ、〈資本主義〉が恐れ、強制的に統治しなければならなかった存在であり、シェイクスピアの戯曲『嵐(テンペスト)』に登場するキャリバンこそ、資本主義が生んだ植民地支配への象徴的な抵抗者だった……。
「家事労働に賃金を!」のスローガンを掲げ、フェミニズム運動の中心的活動家のひとりであるシルヴィア・フェデリーチは膨大な歴史資料・民族誌の読解を通じて、マルクスの本源的蓄積、フーコーの身体論を批判的に検討。彼らが描ききれなかった魔女狩りから植民地支配、今日のグローバルな規模で実施されるIMF・世界銀行の構造調整プログラムによる搾取を、資本主義による女性への暴力と支配の歴史として、フェミニストの視点から書き換える意欲作。


目次

序章

第1章 世界中に待ち望まれた衝撃――中世ヨーロッパ社会運動と政治危機
 はじめに
 階級関係としての農例奴制
 共有地(コモンズ)をめぐる闘争
 解放と社会的分断
 千年王国運動と異端運動
 セクシュアリティの政治化
 女性と異端信仰
 都市の闘争
 ペストと労働の危機(レイバー・クライシス)
 性政治、国家(セクシュアル・ポリティクス)の出現、そして反革命

第2章 労働の蓄積と女性の価値の切り下げ――「資本主義への移行」における「差異」の構築
 はじめに
 ヨーロッパにおける資本主義的蓄積と労働の蓄積
 ヨーロッパにおける土地の私有化、欠乏の生産、再生産と生産の分離
 価格革命とヨーロッパの労働者階級の窮乏
 労働力の再生産への国家の介入――貧民救済と労働者階級の犯罪化
 女性労働の価値の切り下げ
 女性――新たなコモンズ、失われた土地の代用品
 賃金の家父長制
 女性の調教、女らしさと男らしさの再定義――ヨーロッパにおける未開人としての女
 植民地化、グローバリゼーション、女性
〈植民地における人種・階級〉から〈植民地における性・人種・階級〉へ
 資本主義と性別分業

第3章 偉大なるキャリバン――反抗する身体との闘い

第4章 ヨーロッパの魔女狩り
 はじめに
 魔女あぶりの時代と国家主導
 悪魔信仰と生産様式における変化
 魔女狩りと階級的反抗
 魔女狩り、女狩り、労働の蓄積
 魔女狩りと男性優位――女性の調教
 魔女狩りとセクシュアリティの資本主義的合理化
 魔女狩りと新世界
 魔女、治療者、そして近代科学の誕生

第5章 植民地化とキリスト教化――新世界のキャリバンと魔女
 はじめに
 人食い(カニバル)の誕生
 搾取、抵抗、悪魔化
 アメリカ大陸の女性と魔女
 ヨーロッパの魔女と「インディオ」
 魔女狩りとグローバリゼーション

訳者解題
原注
参考文献


著者

シルヴィア・フェデリーチ (Silvia Federrici)
1942年イタリア生まれ。1967年よりアメリカに渡り、ニューヨークを拠点にフェミニストとして研究・活動を行う。フェミニズムや教育に関わる運動、死刑廃止運動、反核運動、グローバル・ジャスティス運動等にたずさわり、近年ではスピーチや講演活動を通じて、オキュパイ・ウォールストリート運動を支援。アメリカだけでなくヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの地域を訪れ、知的交流を重ね、ナイジェリアのポートハーコート大学でも教鞭をとる。現在はニューヨークのホフストラ大学の国際関係学・政治哲学の名誉教授である。
主著:Revolution at Point Zero:Housework, Reproduction, and Feminist Struggle, PM Press, 2012.
共著:レオポルディーナ・フォルトゥナーティとの共著 Il Grande Calibano. Storia delcorpo sociale ribelle nella prima fase del capitale, Franco Angeli, 1984.
編著:Enduring Western civilization: the construction of the concept of Western civilization and its“others,” 1995. など多数。

訳者

小田原 琳 (おだわら りん)
1972年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科修了。学術博士。現在、東京外国語大学総合国際学研究院講師。イタリア近現代史、ジェンダー・スタディーズ。
共著に『イタリア国民国家の形成』(日本経済評論社、2010年)、論文に「「平和の犯罪」としての戦時・植民地主義ジェンダー暴力」(『ジェンダー史学』第12号、2016年)など。

後藤 あゆみ (ごとう あゆみ)
大阪府立大学大学院博士課程単位取得。
翻訳に、マイク・ディヴィス「革命はこれからだ」「ゾンビ」(『現代思想』2017年)など。

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