負債論

装幀:難波園子
2016年11月25日発売
A5判 上製カバー装 848頁
定価:本体6,000円+税
ISBN 978-4-7531-0334-8​

負債論──貨幣と暴力の5000年

デヴィッド・グレーバー(酒井隆史 監訳、高祖岩三郎、佐々木夏子 訳)

『国富論』から『負債論』へ

重厚な書としては異例の旋風を巻き起こした世界的ベストセラー。
現代人の首をしめあげる負債の秘密を、貨幣と暴力の5000年史の壮大な展望のもとに解き明かす。資本主義と文明総体の危機を測定し、いまだ書かれざる未来の諸可能性に賭ける、21世紀の幕開けを告知する革命的書物。

●トマ・ピケティ(経済学者)
『負債論』、愛しています(I Love Debt)。
●レベッカ・ソルニット(『災害ユートピア』著者) 
グレーバーは、すばらしく深遠なまでに独創的な思想家である。
●『フィナンシャル・タイムズ』紙
新鮮・魅力的・挑発的、そしてとんでもないタイミングのよさ。
●『ニューヨーク・タイムズ』紙
われわれの経済の荒廃、モラルの荒廃の状態についての長大なフィールド報告。人類学の最良の伝統のなかで、債務上限、サブプライムモーゲージ、クレジット・デフォルト・スワップを、あたかも自己破壊的部族のエキゾチックな慣行のように扱っている。


目次

凡例
第1章   モラルの混乱の経験をめぐって
第2章   物々交換の神話
第3章   原初的負債
第4章   残酷さと贖い
第5章   経済的諸関係のモラル的基盤についての小論
第6章   性と死のゲーム
第7章   名誉と不名誉 あるいは、現代文明の基盤について
第8章   「信用」対「地金」――そして歴史のサイクル
第9章   枢軸時代(前800―後600年)
第10章 中世(600―1450年)
第11章 大資本主義帝国の時代(1450から1971年)
第12章 いまだ定まらぬなにごとかのはじまり(1971年から今日まで)
結論 おそらく世界こそが、あなたから生を借りている[あなたに生を負っている]
あとがき 2014年

世界を共に想像し直すために――訳者あとがきにかえて


著者

デヴィッド・グレーバー(David Graeber)
1961年、ニューヨーク生まれ。文化人類学者・アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学人類学教授。
訳書に、
『アナーキスト人類学のための断章』(2006年)
『官僚制のユートピア』(2017年)ほか。
日本語のみで出版されたインタビュー集として『資本主義後の世界のために』(以文社、2009年)がある。
著書に、
Bullshit Jobs: The Rise of Pointless Work, and What We Can Do About It (Penguin, 2019).
Toward an Anthropological Theory of Value:The False Coin of Our Own Dreams (Palgrave, 2001、以文社より近刊予定).
Lost People: Magic and the Legacy of Slavery in Madagascar (Indiana University Press, 2007).
Direct Action: An Ethnography (AK Press, 2007). ほか多数。
マーシャル・サーリンズとの共著に、On Kings (HAU, 2017) がある(以文社より刊行予定)。

監訳者/訳者

酒井隆史 (さかい たかし)
大阪府立大学。社会思想史、都市形成史。
著書に、
『自由論』(青土社、2001年)※2019年8月『完全版 自由論』が河出文庫より刊行。
『暴力の哲学』(河出書房新社、2004年)※2016年、河出文庫。
『通天閣』(青土社、2011年)など。
訳書に、
スラヴォイ・ジジェク『否定的なもののもとへの滞留』ちくま学芸文庫(共訳)
マイケル・ハート、アントニオ・ネグリ『〈帝国〉』以文社(共訳)
マイク・ディヴィス『スラムの惑星』明石書店(監訳)など。

高祖岩三郎 (こうそ いわさぶろう)
翻訳家、批評家、Autonomedia編集委員。
1980年渡米、ニューヨーク在住。
著書に、
『ニューヨーク烈伝』(青土社、2006年)
『新しいアナキズムの系譜学』(河出書房新社、2009年)
『死にゆく都市、回帰する巷』(以文社、2010年)など。
訳書に、Kojin Karatani, Transcritique (MIT Press)
Arata Isozaki, Japan-ness Architicture (MIT Press)
デヴィッド・グレーバー『アナーキスト人類学のための断章』(以文社、2006年)
デヴィッド・グレーバー『資本主義後の世界のために』(以文社、2009年)など。

佐々木夏子 (ささき なつこ)
1976年生まれ。
立教大学大学院文学研究科比較文明学専攻博士課程前期課程修了。
2007年よりフランス在住。現地で翻訳業に従事。