約1ヵ月ぶりにContents の「Special」を更新しました。

 今回は平田周さんによる、酒井隆史さん『完全版:自由論』の刊行(河出文庫、2019年8月)に触発され書かれた「後期新自由主義」と題した論考となります。

 本文中にもあるとおり『自由論』が刊行されてから20年近くの月日が流れていることに気づいたときには愕然とせざるをえませんでしたが、一方で、文庫化をきっかけに本書を読み返してみたところ、その内容がまったく古びていないことにもまた驚かざるをえませんでした。

 ただ、当時は若さゆえの楽観と疑り深さから、本書で描かれる「現実」を素直に受け入れらず、それが理解の妨げにもつながっていましたが、今はまるで答え合わせをするかように(この20年を振り返りながら)抵抗なくスラスラと本書で書かれていることが理解できてしまうことを思うと、それを皮肉として笑うのもいいですが、結局は日常的な違和から、なぜ現状がこんなことになってしまっているのかを(当時の酒井さんのように)執拗に考えていくことにしか突破口(少しでも気が楽になる方法)はない、とあらためて気づかされた、というところがより素に近い感想になるでしょうか。

 文庫化にあたって新たに収録された「統治、内戦、真理──『自由論』への18年後の自注」読むためだけでも購入する価値が十分あると思います。

 平田さんには、来年弊社より刊行予定の地理思想・都市論集の編者として、仙波希望さんとともに名を連ねて頂く予定です。非常に読み応えのある本になると思いますので、どうぞご期待下さい。平田さん、今回はありがとうございました。