国家とはなにか/萱野稔人【品切】

国家とはなにか

装幀:難波園子
2005年6月16日発売
四六判 上製カバー装 296頁
定価:本体2,600円+税
ISBN 978-4-7531-0242-6

国家とはなにか

萱野稔人

1990年代に盛んだった「想像の共同体」としての「国民国家」への批判は、ある種の学際の場における典型的な「語り口」となり、また、グローバリゼーションの進行によって国家いずれは溶解していくだろう、という楽観まで生じさせた。
本書は、そうした国民国家批判の隘路から抜け出るための国家への根源的な考察である。国家が存在し、活動する固有の原理とはなにか。既成の国家観を根底から覆し、歴史を貫くパースペクティブを開示する、「暴力の歴史の哲学」。


目次

第1章 国家の概念規定
1.「物理的暴力行使の独占」――ウェーバーによる国家の定義
2.暴力の正当性と合法性
3.暴力の自己根拠化とヘゲモニー
4.「暴力の歴史の哲学」

第2章 暴力の組織化
1.秩序と支配の保証
2.服従の生産――権力と暴力
3.暴力と権力の規範的区別と機能的区別
4.権力による暴力の組織化と加工
5.手段をこえる暴力?

第3章 富の我有化と暴力
1.富の我有化と暴力の社会的機能
2.税の徴収の根拠
3.設立による国家と獲得による国家
4.所有・治安・安全
5.国家形態の規定要因と「国家なき社会」

第4章 方法的考察
1.国民国家批判の陥穽
2.国家・イデオロギー・主体――国家=フィクション論の誤謬(1)
3.国家と言説――国家=フィクション論の誤謬(2)

第5章 主権の成立
1.暴力をめぐる歴史的問題としての主権
2.近代以前の国家形態
3.暴力の独占と政治的なものの自律化
4.領土と国境
5.「大地のノモス」と世界の地図化
6.国境と領土による国家の脱人格化

第6章 国民国家の形成とナショナリズム
1.国民国家とナショナリズムの概念的区別
2.国家の暴力の「民主化」
3.神学的・経済的なものと国家のヘゲモニー
4.権力関係の脱人格化
5.主権的権力と生‐権力の結びつき
6.ナショナル・アイデンティティの構成

第7章 国家と資本主義
1.捕獲装置と資本主義
2.全体主義的縮減――国家の現在
3.脱領土化する国家
4.公理をめぐる闘争


著者

萱野 稔人(かやの としひと)
1970年生まれ。2003年パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。
現在、津田塾大学総合政策学部長。
著書に『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社、2006年、※2017年に河出文庫)、『死刑 その哲学的考察』(ちくま新書、2017年)など。

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