2014年01月21日発売

聖なるものの刻印
科学的合理性はなぜ盲目か

ジャン=ピエール・デュピュイ 著
西谷修・森元庸介・渡名喜庸哲 訳

四六判 上製カバー装 352頁
定価:本体3,200円+税
ISBN 978-4-7531-0318-8 C0010
      未来のない効率信仰よりも、カタストロフィへの目覚めを!

政治哲学から経済哲学、認知科学のみならず、現在、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)倫理委員会委員長という原子力を含めた自然科学など、実に広範な学問分野にわたる現代知性の泰斗による思考の集大成。現代文明のグローバルに拡張される核エネルギー、IT、バイオ・ナノ・テクノロジー、金融工学などが、発展途上国を巻き込んで資源開発・乱獲に拍車をかけ、地球上の汚染を深刻化して、文明が破滅の淵に突進しようとしている現実とそれに盲目な学問批判。

☆☆ ブログ記事 ☆☆   ウラゲツ☆ブログ

【著者紹介】
ジャン=ピエール・デュピュイ(Jean-Pierre Dupuy)
1941年生まれ。哲学者。スタンフォード大学教授。エコール・ポリテクニク名誉教授。イヴァン・イリイチ、ルネ・ジラールの薫陶を受け、政治哲学から経済哲学、認知科学に至る広範な領域で活躍。とくに2000年代以降、「破局主義」の概念をめぐる諸著作によって注目を集める。また、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)倫理委員会委員長を務めてもいる。
著作の日本語訳:
『秩序と無秩序』(法政大学出版、1987年)
『ツナミの小形而上学』(岩波書店、2011年)
『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り』(明石書店、2012年)
『ありえないことが現実になるとき』(筑摩書房、2012年)
『経済の未来』(以文社、2013年)などがある。

【訳者紹介】
●西谷 修 (にしたに おさむ)
1950年愛知県生まれ。東京都立大学フランス文学科修士課程修了。現在、東京外国語大学総合国際学研究院教授。
主著:
『不死のワンダーランド』(青土社、1990年)
『戦争論』(岩波書店、1992年)
『〈テロル〉との戦争』(以文社、2006年)
『理性の探求』(岩波書店、2009年)ほか多数。
●森元 庸介 (もりもと ようすけ)
1976年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。パリ西大学博士(人文学)。東京大学大学院教務補佐員。
著書:
La Legalite de l' art. La question du theatre au miroir de la casuistique (Fayard, a paraitre)。
訳書:
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ヴィーナスを開く』(白水社、2002年)
ピエール・ルジャンドル『西洋が西洋について見ないでいること』(以文社、2004年)
ジャン=ピエール・デュピュイ『経済の未来』(以文社、2013年)
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ』(平凡社、2013年)などがある。
●渡名喜 庸哲 (となき ようてつ)
1980年、福島県生まれ。東京大学大学院満期退学。パリ第7大学博士課程修了、博士(政治哲学)。現在東洋大学国際哲学研究センター研究助手。
著書:
Arrachement et Evasion:Levinas et Arendt Face a l'histoire (共著、Vrin、2013)。
訳書:
ジャン=ピエール・ルゴフ『ポスト全体主義時代の民主主義』(青土社、2011年)
ジャン=リュック・ナンシー『フクシマの後で』(以文社、2012年)ほか、多数。

【目次】
序章 聖なるもののかたち
 アルキメデスからミュンヒハウゼンへ
 グローバル・パニックの解剖
 サタンがサタンを追い出すとき
第一章 アポカリプスを間近に考える――わたしの歩み
 破局を前に
 アポカリプス・ナウ
 最善のものの腐敗は最悪のものを生み出す イリッチとジラール
 不幸の予言者の育成
第二章 科学、みずからそれと知らない神学
 科学の自称中立性
 神学−科学問題
 なぜわれわれは未来を必要とするのか
 テクノロジーが収斂するとき
 リスクの問題系を乗り越えること
  自然との関係に対する影響(存在論的な影響)
  認識との関係に対する影響(認識論的な影響)
  倫理の可能性そのものに対する影響(倫理的な影響)
  カテゴリーに対する影響(形而上学的な影響)
  人間の条件に対する影響(人間学的な影響)
 『マトリックス』、科学とトランスヒューマニスト
 科学の責任
第三章 宗教 それは自然なのか超自然なのか
 われわれは乗り込んでいる
 社会的熱狂としての宗教的なもの
 犠牲と殺人
 犠牲的思考とカテゴリーの錯綜
 宗教と道徳
 スケープゴートと供犠の犠牲者
 道徳による偽の救済
第四章 バビロニアンの籤引き 投票――合理的手続きと儀礼のあいだで
 神学−政治問題に対する解決策としての偶然について
 理性は投票の意味を把握する力をもたない
 アメリカの籤引き
 人類学と政治哲学を再び近づけるために
第五章 正義とルサンチマン
 正義は論理には還元できない
 社会的不平等と屈辱
   ヒエラルキー
  脱神秘化
  偶然
  複雑性
 不平等の問題に対する人類学的・政治的アプローチのために
  ルサンチマンの暴力
  犠牲者の聖化
  犠牲モデルを脱すること
第六章 核の脅威、われわれにとっての新たな聖なるもの
       ――ビン・ラディンからヒロシマへ
 ビン・ラディンとヒロシマ
 ギュンター・アンダース、原子力時代の理論家
 抑止の無力さ
 憎悪とルサンチマンの終わり
第七章 「わたしが死ぬとき、わたしたちの愛はまるでなかったことになる」
       ――ヒッチコック『めまい』の主題による変奏
 自己言及
 マデリンという存在のありかた
 破局と時間
 欲望の対象
 過去の感覚
 アルクメネのパラドクス 模倣的欲望を打ち負かす愛
なぜ本書を訳出するのか 訳者あとがきにかえて 


HOMEへ戻る